日本経済新聞
http://waga.nikkei.co.jp/enjoy/movie.aspx?i=MMWAe2000024102008
ジョン・ウー監督、「レッドクリフ PartI」の魅力を語る
三国志最大の決戦「赤壁の戦い」を描いたジョン・ウー監督のアクション大作「レッドクリフ PartI」が11月1日公開される。総製作費100億円、名将・周瑜にはトニー・レオン、軍師・諸葛孔明には金城武を起用した。第21回東京国際映画祭のため来日したジョン・ウー監督に「レッドクリフ」の見所について聞いた。
★レッドクリフ
★公開日:11月1日(土)日劇1ほか全国ロードショー
★公式サイト:http://www.redcliff.jp
★配給:東宝東和卅エイベックス・エンタテインメント
■官渡決戦や北伐戦など、『三国演義』には魅力的な切り口がありますが、赤壁の戦いを選んだ理由は
(C) 2008 Three Kingdoms Ltd. (C) Bai Xiaoyan
赤壁の戦いを映画にすることが私の長年の夢でした。人類の知恵、勇気、団結、力を表現する上で一番ふさわしい物語であると共に、三国演義の中でも有名なストーリーだと思っています。こうした有名な物語を最新の技術を駆使してスクリーンに表現する仕事に、大変なやりがいを感じていたのです。
また、弱者が強者に立ち向かって行くという内容は私も大好きなんです。とても勇気が必要なことですが、自分が正しいと思ったら決して妥協しないで貫くということは、私の性格にも当てはまっているように思います。
■配役へのこだわりは
(C) 2008 Three Kingdoms Ltd. (C) Bai Xiaoyan
私はこれまで、チョウ・ユンファさんやトニー・レオンさんの俳優としての力を認めてきました。なので、周瑜役にはこの2人のどちらかを抜擢したいと思っていたんです。ただ、チョウ・ユンファさんはスケジュールが合わなかったため、トニー・レオンさんにお願いすることにしました。
そのトニー・レオンさんですが、周瑜の気質に近いものを持っていると思います。ロマンチストで心も広く、同情心に溢れ人間としての魅力もある。なので、周瑜の内面性を表現するには彼がもっとも相応しい人だと思いました。また、冷静沈着であるのに勇敢さも持ち合わせている所が素晴らしいと思っています。
諸葛孔明は、聡明でユーモアのセンスもある。金城武さんは優美な風格で、孔明の持ているお茶目な一面を見事に表現してくれたと思っています。
曹操はすぐに人を疑ったりしますが、非常に才能溢れる人物です。文学者としての造詣も深く、豊かな内面性を持っているんですね。その曹操役には大陸出身のチャン・フォンイさんにやってもらいました。
いずれの俳優も、みなさんが持っている三国演義のキャラクターイメージに近いところもありますし、現代的な雰囲気もあると感じているんです。ということで、説得力もありますし映画をご覧になっていて感情移入がしやすいのではないかと思います。
■日本では孔明を神秘化している人も多いが
(C) 2008 Three Kingdoms Ltd. (C) Bai Xiaoyan
中国でも孔明を神秘化している人はいますが、それは『三国演義』を読んで影響を受けた人たちですね。私が思うに孔明は気象に関する豊富な知識を持っていたのだと思います。映画の中でも「優れた統率力を持つ人は、天候も味方にする」というような台詞を孔明が言いますが、風の向きや気候の変化や地形を生かした戦い方は魔術を使っているわけではなく、知識を使って収めた勝利だと思っています。
■撮影で一番大変だったことは
壮大な戦闘場面を撮影するのが大変でした。撮影が長期に渡って行われたので、日差しの強い日には熱射病になって倒れてしまった人や、寒さで風をひいてしまった人などもいて予定通りに進みませんでしたから。
■最大のみどころは
(C) 2008 Three Kingdoms Ltd. (C) Bai Xiaoyan
リアリティのある戦闘シーンだと思います。1つ1つの戦闘において戦争の残酷さを感じてもらいたいですし、陣の組み方についても詳細に分かってもらえると思っています。
このストーリーの中のロマンスについても、様々な国の人たちの感性に配慮しました。ですから、三国志を知っているアジアの方はもちろん、三国志に馴染みのない欧米の方も、シーンごとの話が理解できるようにしています。
■中国での反響は
(C) 2008 Three Kingdoms Ltd. (C) Bai Xiaoyan
若い人たちに観てもらえているようですね。それも2回3回と劇場へ足を運んでいると聞いて大変嬉しく思っています。レッドクリフは、現代人のテイストにも配慮し新しい視点で歴史を捉えて撮影しました。なので、この作品を観て元気になったとか励まされたといってくれる人もいますよ。
一般的に歴史を扱った映画は“重い”感じになるのですが、レッドクリフはユーモアをたくさん取り入れているのでリラックスして観ていただけると思っています。また、戦闘シーンは迫力もあるので視覚的なインパクトも強かったと思います。撮影中も、このような反応を期待していたので思った通りになって嬉しかったです。
■監督自身が出演するとしたら、誰になりたいか
子どものときは趙雲になりたかったのですが、いまは周瑜になってみたいです。それは、大人になって周瑜に共感できることが多くなったからだと思います。非常に責任感の強い人で国に対しても忠義をつくしていますし、恋人を大切に愛するという面でも共感がもてます。
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